(小料理屋「向日葵」のカウンター。50代と思しき客が、おしぼりを片手に女将と話している)
女将「お客さんは、初めてですよね…?」
斎藤さん「そうなんですよ。いやね、1階のバーの看板につられて入ったんだけど、マスターが『夕飯がまだなら、上の向日葵へ』って。」
女将「あら、青島さんが。」
斎藤さん「実は出張中でね。この一週間、仕事が不規則でコンビニ弁当ばっかりでさ。ようやく落ち着いて夜の街に繰り出したってわけ。ちゃんとした料理を食いたくなってたから教えてもらって助かったよ。」
女将「こういうのも何かの縁よね。……さあお腹すいてるでしょう。はいメニューはこれね。あと今日のおすすめはこっちに貼ってあるわ。」
斎藤さん「まずは中ジョッキね。あとはね…」
俺は揚げ出し豆腐をつつきながら、二人のやりとりを聞いていた。「毎日コンビニ弁当という罪悪感」、やむを得ずそんな時ってありますよね。
「ちゃんと作らなきゃ」という、50代の呪い
斎藤さんは、普段から中長期の出張が多いそうです。
出張がないときは、奥さんがお弁当を持たせてくれる。だから自分はまだマシな方だ、と本人は言います。問題は、家を離れているときです。
1泊2泊なら、その土地の名物で一杯やるのが出張の醍醐味。これはこれで、人生の楽しみです。でも、それが1週間ともなると、話は変わってきます。毎晩は夜の街に繰り出せない。結局、コンビニ弁当やスーパーの惣菜を買って、ホテルの部屋で食べることになる。
そして、これは多くの50代に覚えがあるはずです。「せめて野菜を」とサラダを一つ買い足すと、弁当と合わせて意外な金額になる。カット野菜、惣菜を一品、飲み物。気づけばコンビニで2000円に迫る勢い。それでいて、食べ終わった後に残るのは、栄養を摂った満足感ではなく、うっすらとした後ろめたさだったりします。
単身赴任の方、あるいは奥さんが不在がちなご家庭。理由は違えど、50代男性の多くが「ちゃんと食べられていない自分」に、小さな罪悪感を抱えています。
その罪悪感の正体は、たぶん「ちゃんと作らなきゃ」という思い込みです。私たちの世代は、食事はきちんと用意されるもの、あるいは店で食べるもの、という感覚が染みついている。だから、その中間がうまく想像できない。
50代の体は、もう「適当な食事」を許してくれない
斎藤さんが、ジョッキを傾けながらこぼした話が印象的でした。
自分は妻が食事を管理してくれているからまだいい。でも独身の同僚たちは、健康診断のたびに数値の悪化に怯えている。若い頃からの食生活の癖が抜けず、頭では分かっていても変えられずに困っている——と。
他人事ではありません。50代の体は、20代30代の頃とは違います。同じものを同じように食べていても、確実に何かが変わってくる年代です。
医学的な細かい話は、ここではしません(それは専門家の領域です)。ただ、経験として誰もが知っていることがあります。塩分の濃いもの、脂っこいもの、炭水化物に偏ったもの。それを続けた翌朝の体の重さは、若い頃のそれとは明らかに違う。
だからといって、神経質になって食の楽しみを手放すのも、味気ない。斎藤さんの言う「出張先の一杯の醍醐味」は、手放す必要のない人生の喜びです。
大事なのはバランス。楽しむ日は楽しむ。その代わり、乱れがちな日を、何かで「整える」。この整える側の選択肢として、栄養設計された宅配食は、50代にとって現実的な味方になります。
料理人の女将が、宅配弁当を否定しない理由
ここで、意外な人の話をします。この店「向日葵」の女将です。
毎日カウンターで包丁を握り、手をかけた料理を出す料理人。そういう人こそ、出来合いの宅配弁当なんて邪道だ、と言いそうなものです。ところが女将は、まったく逆のことを言います。
斎藤さんの話をひとしきり聞いた後、女将はこう言いました。
「あのね。出張中だと仕方ないけど、自宅にいるなら最近はいいのがあるそうよ。味も悪くないって聞くわ」
女将には、彼女なりの筋の通った考えがあります。美味しいものを出すこと自体が目的ではない。お客さんに、健康で長く、美味しいものを楽しんでほしい。だから彼女にとって大事なのは、「手作りかどうか」ではなく、「その人がちゃんと食べられているかどうか」なのです。
料理を仕事にしている人が言うからこそ、この言葉には重みがあります。手を抜くことへの許しではなく、「食べないこと・雑に済ませること」への戒めなのです。
出張先ではもちろん、自宅で「今日はもう作れない」という夜にも、選択肢は一つでも多い方がいい。栄養を考えて作られた一食を、冷凍庫から出して温めて食べる。それは女将の言う「ちゃんと食べる」を、いちばん手軽に叶える方法です。
宅配弁当は「がっつり食べたい日」と「調整したい日」で選ぶ
とはいえ、宅配弁当と一口に言っても、種類が多すぎて選べない、という声をよく聞きます。
選び方はシンプルに考えましょう。「どれが一番いいか」ではなく、「今日は、どっちの日か」で選ぶのです。大きく2つのタイプがあります。
がっつり食べたい日に——惣菜たっぷりの宅配食
一日働いて、しっかり「飯を食った」という満足感がほしい日。そういう日には、惣菜がしっかり入ったタイプが合います。
最近は、塩分やカロリーに配慮して管理栄養士が献立を設計した冷凍の惣菜を、自宅まで届けてくれるサービスが増えています。冷凍でストックしておけるので、出張前にまとめて届けてもらい、帰宅した日の一食にする、という使い方もできます。お届け頻度を選べたり、お休みや変更が利いたりするものを選ぶと、始めやすく、続けやすい。長年の実績がある大手のサービスなら、初めての宅配食としての安心感もあります。
※こうした「がっつり系」の具体的なおすすめサービスについては、あらためて詳しくご紹介する予定です。
食べすぎをリセットしたい日に——デリッシュキッチンの宅配弁当
逆に、前の日に飲みすぎ・食べすぎた日。あるいは、遅い時間の夕食で、重いものは避けたい日。そういう「調整の日」には、軽めに設計された弁当が向いています。
レシピ動画でおなじみの「デリッシュキッチン」がプロデュースする宅配弁当は、1食あたり糖質25g以下・脂質20g以下・350kcal以下に抑えられています。管理栄養士監修で、野菜量120g以上・食材16品目以上を取り入れながら、この軽さ。食べすぎた翌日のリセットや、罪悪感なく食べたい夜食としても使えます。冷凍で3ヶ月以上ストックでき、薄型パッケージで冷凍庫にも収まりやすい設計です。
手軽に冷凍でストック可能ですぐ食べられる【宅配弁当Meals】
料理メディア発だけあって、味の面での評判も期待できるところです。
両方を、使い分ける
おすすめは、どちらか一方に決めることではありません。冷凍庫に両方をストックしておいて、その日の体調と気分で選ぶ。がっつりの日はワタミ、整えたい日はデリッシュキッチン。この二枚看板があれば、乱れがちな食生活に、自分でハンドルを握れるようになります。
どちらも、まずは一度試してみて、口に合うか・続けられるかを確かめるのがいいと思います。合わなければやめればいい。それだけの話です。
結論:完璧じゃなくていい。選択肢を持っておくことが、50代の余裕
食事は、毎日のことです。だからこそ、完璧を目指すと必ず息切れします。
毎食手作り、なんて無理です。かといって、コンビニ弁当だけの日々も、50代の体には少しずつ効いてくる。その両極端の間に、いくつも選択肢を持っておくこと。それが、大人の食との付き合い方だと思います。
出張先の一杯は、これからも楽しめばいい。その代わり、部屋に戻った夜や、疲れて何もしたくない日のために、温めるだけの一食を用意しておく。楽しむことと、整えること。その両方を自分の手の中に持っている人が、結局いちばん長く、美味しく食べ続けられるのだと思います。
そしてこれは、このビルで書いてきたことの土台でもあります。学び直すにも、人と会うにも、まずは体が資本です。整った食事は、そのすべてを支える一番下の階なのかもしれません。
その夜、斎藤さんは女将の料理をきれいに平らげて、少しすっきりした顔で帰っていきました。帰社したときには、健康診断に怯えるあの同僚たちと、この店のこと、そしてもう一つの選択肢のことを、話すのかもしれません。